大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(ネ)2134号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実並に判斷〕被控訴人は訴外丸山慶三にたいし金額四万円の本件手形を交付したのであるが、それは同人が金主に手形を見せて信用をうるためにのみ行使させる目的で、受取人欄を白地となし、丸山において適宜受取人を補充すべきことの補充権を与えて交付したのである。ところで右丸山はこの手形の受取人を福田実(控訴人)と補充し控訴人に交付した。控訴人より被控訴人に対し右手形金請求の訴を提起したが原審は控訴人敗訴控訴審は反対に原判決を取消し控訴人の請求を容れた。その判決の要領は次の通りである。

被控訴人は丸山に対し、本件手形を、ただ丸山の金主に見せるだけであることを特約したことは前示のとおりであるから、丸山が控訴人に対し、本件手形を交付してこれを流通においたことは、被控訴人との右約旨にそむくものであつて、万一控訴人において右特約のあることを知りながら本件手形を取得したとするならば、手形法第十七条により、被控訴人は控訴人に対し右特約をもつて対抗し、本件手形金の支払を拒むことができるけれども、本件においては控訴人が右特約のあつたことを知つていたとの証拠はなく却つて被控訴人を害することを知らずに、同手形を取得したものと認められる。

又被控訴人は、控訴人と被控訴人との間に手形の原因関係がないから、被控訴人は控訴人にたいして本件手形によつて義務を負わないと主張する。しかし前段の説明のように、振出人が受取人記載らんを白地として、前示のような補充権を他人に与えて約束手形を交付した場合にその補充権によつて受取人として補充された者と振出人とは直接に手形を授受した関係ではない。それは、完成せる手形が振出された場合に、それを裏書によつて取得した被裏書人と振出人の関係と少しもちがうところはない。かように解すべきものであるから、控訴人と被控訴人との間に原因関係のないことは、手形振出人としての被控訴人の義務をまぬかれしめるものではない(大審院昭和七年五月三十日第一民事部判決、民事判例集第十一卷一〇四五頁参照)。

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